みやこ忘れ

みやこ忘れと最初に出会ったのは大学の二年生だった。
多少不純な動機で、中央大学の華道部に籍を置いたところ、関東華道会連盟が主催する展示会があり、それに出品するよう依頼された時のことである。
中央大学の華道部は「草月流」の先生が指導していた。
当時草月流と云えば、斬新な流派で有名だった。例えばタイヤを用いて、それと花を巧みに組み合わせた作品や、竹の素材を生かし、まるで日本庭園のような作品を発表したり、ワクワクするような流派だった。
技術も知識も乏しかった私は、なかなか作品が思いつかず悩んでいた。草月流が抽象華道といっても基本的な形はある。そのことを充分理解できていない者がお花を生けるのは厚かましい話である。
締め切りも迫ってきたので、一年上の先輩に教えを請うことにした。
「香山さん、いまさら細かなことを言っても無理だから」と言って提案してくれたのが、二種生けで《真》《控》のみで、真に木瓜を、控にみやこ忘れを使用し、出品したのである。意外と好評で新人賞を戴いた。
自宅の玄関わきに毎年ゴールデンウィークの時期には、薄紫色のみやこ忘れを観るのであるが、今年はその姿を発見できないので家内が雑草と間違えて処理をしてしまったと思い、近くのショップでピンク・薄紫・白の三色のみやこ忘れを買い求めた。家内に植え替えるように言うと、まだ花を咲かせていないがこれらがみやこ忘れだと指摘された。
今薄紫色のみやこ忘れは、志澤塾の玄関わきでその可憐な姿を見ることが出来る。
そろそろみやこ忘れとお別れの時期である。
一年間待ち遠しい日々が続く…

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