蒼穹の昴をもう一度

浅田次郎をしてこの小説が書きたくて作家になった、と言わしめる大作が《蒼穹の昴》である。「鉄道員(ぽっぽや)」や「プリズンホテル」を発表し、小説家としてある程度の地位を築き上げ、しかる後に《蒼穹の昴》を世に輩出したのである。『蒼穹』とは澄み切った青空の事で、『昴』とは牡牛座に位置する『プレアデス星団』であり、物語の主人公の一人である《春児》の守護星なのである。
物語は田舎町の河北で馬糞を拾い集めそれを売りながら、病気がちの母親と幼い妹達の生活を支えている《春児》が、村の一角に住む歳老いた預言者《白太太》のお告げ~幼き糞拾いの子、春児よ。汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう。~を賜るのである。
一方春児の義兄に当たる《梁文秀》は、河北の大地主の次男として生まれるが、何かにつけ恭順で聡明な長男と比較され、家族からも疎まれるのであるが、夜ごと日ごと飲んだくれ女と騒いでいても、天才とは得てしてそんなものであれよあれよと言う間に、科挙の受験資格を得る「挙人」になり、いよいよ都北京に上るのである。
文秀と一緒に都に上がった春児は盲目で胡弓を怪しく弾き語る「安徳海」と出会い、その過去すなわち元宦官のトップである大総官だったこと知り、白太の予言を信じ宦官になる決心をする。幾多の困難を乗り越え、曲芸の達人「黒牡丹」と巡り合い芸を磨き、それが「西太后」目に留まり出世の階段を上ってゆく。文秀は科挙試験の当日隣合わせになった七十年もの間科挙に挑戦し続けた老人の魂を受け継ぎ、トップで科挙に見事合格するのである。
それから何年か経過し、春児は西太后に寵愛され文秀は光緒帝の側近くで、同じ紫禁城の中でそれぞれの立場で活躍をするのであるが、時代は大きな変化の中にあり、守旧派である西太后と、革新派である光緒帝の間で激しい駆け引きが行われ、ついに光緒帝は幽閉され命を落とす。文秀は日本へ逃れ、一方春児は龍玉を手に紫禁城を去る。西太后は最後まで清国の存続を願いながら、『溥儀』を皇帝に据え息を引きとってゆく。
2010年に《田中裕子》が西太后に扮し》日中合作で《蒼穹の昴》のテレビ放送を行った。先日その再放送が放映されたのを録画して観た。もう一度「蒼穹の昴」「中原の虹」を読み返したくなっている。

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