消えゆく本屋

先日隣町の動物病院に愛猫の薬を貰うために出かけた時のことである。JC(青年会議所)時代には通りなれた道ではあったが、何年かぶりだった。新宮町の姫新線の踏切を超すと三叉路がある。その南西に位置するところにK本屋があったはずである。それがなくなりコンビニエンスストアに変わってしまっていた。
私と本との出会いは確か小学4~5年だったと記憶している。何気なく手にした本が《三国志》だった。西暦200年前後の中国を舞台にした一大叙事詩である。魏(曹操)・呉(孫権)・蜀(劉備)の覇権争いを中心に、稀代の英雄たちが繰り広げるロマン溢れる物語である。特に劉備玄徳が率いる蜀の英雄たち、仁義に生きる関羽・怪力の猛将張飛・天才軍師諸葛亮孔明の活躍はワクワクしながら読んだ記憶が今も残っている。《赤壁の戦い》は生実況中継したい気分になる。また「死せる孔明生ける仲達を走らす」も楽しく読んだものである。その後中国史に興味を持ち、「水滸伝」「西遊記」などを読破していった。高校時代になるといっぱしの文学青年を気取り、芥川・太宰・中原中也を愛読し、死について真剣に考えたこともあった。浪人時代を経て中央大学に入学して一年ほどは物珍しさも加わり、遊びまわり怠惰な学生生活を過ごしていた。ある日名古屋から上京していた、同じクラスのN君に呼び出され、彼の下宿に来るように誘われ、行ってみると
「香山、お前ら遊んでばかりいて何をするために大学に来たんだ、これでも読め」と言って手渡されたのが、『国盗り物語』だった。それを機に私の読書熱に再び火が付きあらゆる書物を読破していった。特に五木寛之はほとんど読み漁り、《ソフィア》には行きたくて仕方がなかった。また《カント》は私の哲学の一つである『やかんの哲学』、すなわち理論と実践が一致しなければ意味を持たないと知らされた。
今も年間100冊近く本を読んでいると思う。読みたい本で題名が分かっている場合はアマゾンで購入すれば、大体2~3日で手元に届く。だが私の場合は~なにか面白そうな本はないか~という気持ちで本屋を訪れるのが好きなのである。山崎のY書店も姫路のS書房も消えていった今、何処へ行けばいいの?ジュンク堂?
ベッドに横になりながら活字を目で追いたい私としては、その悩みは解決しそうもない。

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