やかんの哲学
私は東京で4年間大学生活を過ごした。仕送りはしてもらっていたがついつい無駄遣いが多く、いつも生活には窮していた。お風呂などは一週間に一度くらいしか行かなかった記憶がある。最も頭を悩ませたのは洗濯だった。特に冬は辛かった。
ある冬の寒い日、一大決心をして洗濯にとりかかった。もちろん洗濯機などないから、盥で洗濯板を使っての作業になる。水が冷たいからお湯を沸かしながら洗濯する。底の丸いやかんを想像してください。沸騰したお湯を盥に注ぎながら、それを5~6回繰り返し、たまった衣類を洗う。やかんの取手を持った時、柄が持てないくらい熱い時とそうでない時があった。なぜだろう、と考えた。取手を横にしたときは熱くなく、立てていた時に熱く感じることが分かった。つまり熱伝導の理論で熱い、熱くない状態になり、熱い熱くないが体験で、そこには熱伝導の法則が存在する。すなわち理論と体験が一致するべきであるというのが「やかんの哲学」なのである。理論だけでも体験だけでも駄目であるという考え方である。
めぐりあいの哲学
27~8歳のころ、宇宙と言う概念に興味を持ち始めて確立した哲学である。永遠に宇宙の謎は解明されないであろうが、今現在では150億年前にビッグバンによって創造されたと言われている宇宙。その果てしない宇宙の中に銀河系があり、その中に太陽系があり、地球があり、日本があり、この私が生命を授かった地がある。ましてや数え切れない万物の中で、生物として、動物として、哺乳類として、人間として生まれ、この地でめぐりあうのは、まさしく天文学的奇跡としか言いようがない。しかし、私はそのめぐりあいは奇跡ではなく、必然だと信じているのである。だから私はその必然的めぐりあいをより一層大切にしなければならないと思っている。それが「めぐりあいの哲学」である。
やかんの哲学から企業経営に取り入れた戦略的思考としては《知行合一》がある。もちろん陽明学の考え方であるが、企業経営においては経営理念と同じくらい重要だと思っている。めぐりあいの哲学が根底に流れている戦略は、《CS》と《ES》である。
人間は弱い生き物である。悩んだり迷ったりする。その度毎に立ち返る場所が哲学なのである。心の故郷のようなものである。
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